« アンジュール-ある犬の物語 | Main | 21世紀の自然生活人へ―The Cold Mountain's Letters »

古道具 中野商店

西東京の街の古道具屋「中野商店」、そこに集う人々。
それぞれのじれったい恋のようなもの、あるいは恋そのもの。
小道具も、科白も、行間の空気感も、まさに川上弘美ワールド。

登場するアパートの大家夫妻は、大きなアフガンハウンドを飼っているが、やがて死んでしまう。
主人公ヒトミが、恋のような友情のようなあいまいな感情を抱くようになるバイト仲間のタケオは、「犬が死ぬと、つらい」とぽつりとつぶやく。
同級生のいじめによって小指の先を失った過去を持つ彼は、子供の頃から飼っていた犬が去年死んだから中野商店で働き始めた、と言う。

この小説で犬が出てくる場面は、このちょっとしたエピソードだけ。
でも、この作家は犬と暮らすということの究極的な意味を、自らの小説に残酷に利用する。

犬は飼い主より、早く死ぬ。
飼い主は犬より、早く死んではいけない。
犬と暮らすということは、その死を必ず受け止めなければならない、ということ。
愛する者の死を、必ず受け止めなければならない、ということ。


|

« アンジュール-ある犬の物語 | Main | 21世紀の自然生活人へ―The Cold Mountain's Letters »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5058/4036872

Listed below are links to weblogs that reference 古道具 中野商店:

« アンジュール-ある犬の物語 | Main | 21世紀の自然生活人へ―The Cold Mountain's Letters »